ミントはり灸院・ツボはなぜ効くのか。ツボの原理や効果について

2025年1月10日

ツボはなぜ効くのか。ツボの原理や効果について

カテゴリ: Q&A(よくある質問)

当院ではブログの中でさまざまなツボを紹介していますが、実際の治療で使うかというと使ってはいません。
ただ、人によっては我々が針をするところを「〇〇のツボ」と解釈する鍼灸師もいます。

それだけツボというのは明確な定義がありません。
鍼灸の学会に参加してもツボを使う人もいれば使わない人もいます。

鍼灸=ツボというイメージがあると意外な感じがしますよね。

今回は鍼灸師が考えるツボは何なのか?について解説します。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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ツボとは一体なんなのか?

ツボの定義はさまざまですが、学会でよく使われる効果というよりも場所を表すことが多いです。

例えば太ももの膝のやや外側寄りにある筋肉と筋肉の間にある場所は?と言われるとイマイチわかりにくいですが、ツボだと一言ですみます。「梁丘」といえば、鍼灸師はあのあたりね!ってなるわけです。

鍼灸師が与える刺激面積はとても小さいので、ツボという目印で会話することが共通語として便利なわけです。

もちろんツボそのものの効果を研究しているグループも存在していますがそのツボも限定的な感じです。

なぜかというと、解剖学的や生理学的な理由から手足のツボに集中したりするからです。他にもツボの場所がわかりやすいなどの理由もあります。

ということは、ツボは効果としての場所だけでなく、目印としてのツボ、骨の位置、血管が集まる場所など効果と場所などさまざまな意味合いを持っているわけですね。

だからツボって何?の説明がとても難しいわけです。

私は場所を表していると思っています。

ツボはなぜ効くのか?

場所を表すツボの中には体に何かしらの反応を起こすツボもあります。

体に刺激を与えるとなにかしたら反応がおきるのは当たり前ですが、ツボはより顕著にその効果がでる可能性があります。(効果の違いについては研究中)

場所としてのわかりやすさと効果が合わさってツボは効くという認識が出来上がりました。

体の解剖的な特徴を示す場所としてのツボは生理学的にも反射などがおきやすい偶然がありました。

ツボが効く原理、メカニズム

たとえば、筋腱移行部にあるツボは刺激を与えると筋肉を緩まる反射が起きやすくなりますので、筋肉の痛みを取ることができます。

内臓の神経領域にあって、皮膚と神経の場所が近い位置にあるツボは刺激を与えることで自律神経的な反射を起こすことで内臓の異常な働きを正常化する効果があります。

有名な研究としては、胃の運動を高めるツボについてはその効果が研究され発表されています。

ツボは解剖学的な特徴的な場所にあることで刺激を与えて体に効果が現れるわけです。原理はそのツボごとに様々なので説明が難しいですが、刺激が体の中に届きやすいツボがあると考えてよいのではないでしょうか。

ツボ効果の科学的な根拠

・Study of the Relaxation Effect of Shiatsu

指圧によるツボ刺激が自律神経の活動に与える影響を調査し、精神的な緊張を緩和する効果を明らかにした研究です

・鍼治療とツボ押しの組合せによるツボ刺激の降圧効果に関する研究

鍼治療とツボ押しの組み合わせが血圧に与える影響を調査した研究で、ツボ押しの降圧効果についての無作為化比較試験が行われました。

・Acupressure as an Effective Method for Improving Sexual Function in Depressant Women Treated with Selective Serotonin Reuptake Inhibitor

抗うつ薬を服用している女性に対する経穴刺激の効果を評価し、性機能の改善が確認されました。

ツボ刺激の効果はプラセボとの比較が難しくさまざまな研究はありますが、どれも決定的とは言いづらいの現状としてあります。
ただ、効果がないと言うわけではなく、科学的に証明できていないというのが答えではありますが、長い年月をかけて世界中の研究者が頭を悩ませながら実験をしています。

長年の経験と臨床的な効果でもって長年支持されてきた鍼灸とツボです。だからこそツボという表現は一般的になっているのだと思います。

代表的なツボ紹介

科学的な証明はできていないですが、長年使われてきたツボは効果の可能性が高いということで、長く鍼灸師に愛されているツボを紹介します。

ツボ①:足の三里

足三里の位置は膝のお皿の下外側から指4本分下がった位置にあります。すねの外側の筋肉が少し盛り上がった部分です。

主な効果としては

消化器系の調整: 足三里は「胃の神」とも呼ばれ、胃腸の働きを整える効果が特に高いとされています。消化不良や食欲不振、便秘などの改善に役立ちます。

疲労回復: 足三里への刺激は、全身の疲労感を軽減し、体力を増強する効果があります。特に、慢性的な疲労を感じる人にとって有効です。

免疫力の向上: 足三里は免疫機能を高める効果があるとされ、特に風邪や感染症の予防に寄与します。

冷え性の改善: 足三里を刺激することで、血行が促進され、冷え性の改善に効果的です。特に冬場や冷えを感じやすい人におすすめです。

美容効果: 足三里は血行を促進し、肌の新陳代謝を高めるため、美肌効果やむくみの解消にも寄与します。

何か内臓系で困ったら足の三里というぐらい万能のツボです。さまざまな研究でも使われているツボなのでその効果が実験の中で測定されています。

ツボ②:合谷

位置は親指と人差し指の骨が交わる部分の少し人差し指側にあるへこみです。

主な効果としては

痛みの緩和: 合谷は、頭痛、歯痛、肩こり、首の痛みなど、さまざまな痛みに対して効果があります。特に、頭部や顔面の痛みに対する効果が高いとされています。

ストレス緩和: 合谷を刺激することで、自律神経のバランスが整い、リラックス効果が得られます。ストレスや緊張を和らげるために利用されることが多いです。
消化器系の改善: 合谷は大腸経に属し、消化器系の不調(便秘や腹痛など)にも効果があります。大腸の働きを助けることで、全身の健康を促進します。

免疫力の向上: 合谷は免疫系にも影響を与えるとされ、風邪のひき始めやアレルギー症状の緩和に役立つと考えられています。

美容効果: 合谷は肌のトラブル(にきびや吹き出物など)にも効果があるとされ、美容目的での使用も一般的です。血行を促進し、肌の新陳代謝を高めることが期待されます。

顔周辺のトラブルには合谷がよく選ばれます。痛みを抑制する内因性オピオイドの分泌量が増えると言われています。

ツボ③:百会

位置は両耳の上端を結んだ線と、額の中心から後頭部に向かう線が交わる点にあります。

精神安定: 百会を刺激することで、ストレスや不安を軽減し、精神を安定させる効果があります。自律神経に働きかけるため、リラックス効果が期待されます。

頭痛の緩和: 特に緊張型頭痛や偏頭痛に対して効果があり、頭部や首、肩の血流を改善することで、痛みを和らげることができます。

集中力向上: 百会を刺激することで脳への血流が促進され、集中力や記憶力の向上が期待されます。

不眠症の改善: 不眠や寝つきが悪いときに百会を刺激することで、リラックスしやすくなり、睡眠の質が向上することが期待されます。

高血圧の予防: 百会は血圧を調整する効果があり、高血圧の予防や改善にも良いとされています。

消化器系の調整: 消化不良や胃腸の不調にも効果があり、胃腸の働きを整えることが期待されます

ストレスやメンタル系の不調には百会が選ばれます。百会を刺激することで脳内の神経伝達物質のバランスが改善され、特にセロトニンやドーパミンの分泌が促進されることが示されています。

代表的なツボの刺激方法

鍼灸治療でツボを刺激する場合は一般のツボ刺激と違って、場所の選び方が違います。大まかな場所はこれまでに説明した通りです。

そこから詳細な場所は個々によって違いますので、それを触診等で見つけていきます。

骨や血管、神経がすべて同じように配置されてはいないからです。

鍼やお灸は体に対してとても小さい面積しか刺激することができません。だからこそ場所を丁寧に選ぶことで最大限の効果を出すことができます。

いっぽうで家庭でツボセルフケアをする場合は触診はできませんので、ピンポイントではなく広い面で刺激することが望ましいです。

よく指でぐっと押すことを想像されますが、それよりも手のひらを使ってゆっくり押したり、皮膚をずらすように動かすほうが効率よく刺激を与えることができます。

ツボを押す場合は広い面をゆっくりを忘れないようにしましょう。

六甲道本院
三ノ宮院
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まとめ

今回はツボの効果について解説しました。
ツボは鍼灸師のプライドでもあります。
そう思うとツボって色んな意味がありますね・・・。

なので、私の解釈に対して「それは違う!」と思う方は当然います。
みなさんそれだけ熱い思いをもってツボと向き合っているからだと思います。

一般の方にとっては今回のブログがよくわからない物になったのではないでしょうか。

職人の世界はある意味でそういうものなのかもしれませんね。

きっとお寿司の業界も一つのことでまったく見解が違うなんてことはあるでしょうから。

鍼灸はお互いをわかりあえない職人の世界なので、受ける人は「この人はツボにどんな考え方を持っているのだろう?」と思って受けてみたら面白いかもしれませんね。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。