2025年1月18日
鍼灸治療は痛い?痛い時と痛くない時があるって本当?詳しく解説
カテゴリ: Q&A(よくある質問)
「鍼って痛いんでしょ?」という質問を何千回も受けたことがあります。
そのたびに痛みの程度や想像以上に痛くないと伝えてもその恐怖心を取り去ることはできませんでした。
痛みそのものよりも、鍼灸というものがよくわからないから怖いや不安というのが強いのだと思います。
今回の記事では痛い痛くないの解説だけでなく、よくわからないを少しでも払拭できればと思っています。
実際に鍼を受けるのが初めてで「怖い」と思っていて、鍼をする直前に顔が緊張して顔面蒼白になっていも、鍼をした瞬間に「え!?」という感想がほぼ100%です。
それだけ、想像と実際は違うということです。
この差を埋めるような解説をしていきます。
この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
鍼灸は痛い?鍼治療はどんな感覚なのか
針はなぜ痛いのか?そこから解説します。
人生において、針が皮膚にあたって痛みを感じたことは何度もあると思います。
注射の針、画鋲の針、裁縫の針、釣り針などなど・・
どんな針でもほぼほぼ必ず痛かったと思いますが、みんな同じような痛みだったかというとそんなことはないと思います。
例えば蚊についてはどうでしょうか?蚊も針を使っています。
注射も昔の針と今の針ではどうでしょうか?
コロナのワクチン接種のときは刺した瞬間の痛みは予想より少なかったと思います。
鍼灸で使う針は主に0.18mm~0.12mmでコロナのワクチン接種で使われた針(25ゲージで約0.5mm)よりも細いので、それよりも痛みを感じにくくなります。
痛みの感覚もより小さいチクっとした感覚です。
それじゃ痛いかどうかわからない!という声もたくさん頂きます。
なので例として「痛くても細い眉毛を抜くときくらいの痛み」と伝えることもあります。
鍼が痛い時と痛くない時があるって本当?
よく「痛いの?痛くないの?」という質問に「痛みを感じにくい」という中途半端な表現をしますが、それは答えから逃げているのではなく。
神経は面で存在するわけではなく点で存在するから解剖学的に正確に回答すると「感じやすさ」が違うと答えることしかできません。
これまでに経験してきた、針の痛みというのは一定ではなかったと思います。
それは、針の太さと指す場所によって感じ方が違うのです。
痛みを感じる神経は皮膚にオセロの駒のようにドット状に分布しています。
その分布されている範囲をどれだけ刺激したかで痛みの強弱があるわけです。
針が太くてオセロの駒の10個分の大きさがあれば、毎回その針は10個分の刺激量を感じます。
針が細くてオセロの駒の2個分の大きさであれば、その針は2個分の刺激量となります。
オセロの盤を皮膚とするなら、体の場所場所によってオセロの数はかわります。手のひらや足のうらは多いですし、お腹や二の腕は少なくなります。
平均すると1センチ四方の皮膚には200個のドットが存在すると言われています。
なので針の細さがドットの隙間よりも細い場合は無痛になる場合もあるわけです。
極めて細い針を使う鍼灸の場合は神経の刺激を少なくできるので痛みを感じにくくなっているわけです。ちなみに蚊の針も細いので刺された感覚が少ないですよね。
なので、ドットの間に刺されば無痛ですし、ドットに刺さったとしても小さいので痛みも小さくなります。
鍼治療が痛いと感じる理由
ということは鍼治療は完全に無痛なのか?ほぼ痛みなしなのか?というとそうではありません。
まれに痛みを強く感じる場合もあります。
これにはいくつかの条件が重なって起きる場合がありますので解説します。
刺鍼技術の上手・下手で痛いかが決まることもある
さきほどのオセロの例にあるように、できるだけオセロの間を鍼が刺されば無痛になるのですが、分布をみることはできません。
ですので、針をする時にできるだけオセロの当たる数を少なくする工夫が痛みを少なくできます。
その工夫は様々にあります。
敏感な場所ではより細い鍼を使うこともできます。
皮膚の引っ張ってオセロ間の隙間を少しでも広げる。
鍼が皮膚の上ですべらないようにまっすぐ刺す。
他の刺激を与えておいて痛みの感覚を紛らわす。
精神的な緊張度を下げて、痛みの感度を下げる。
などなど、痛みを感じない、痛みの感じを下げる工夫はたくさんあります。
これはあくまで一部ですが、その手立てをたくさん持っている鍼灸師は患者さんにやさしい施術ができるという意味では上手い下手の分かれ目になるかもしれません。
痛みがある鍼とない鍼で効果の違いは特にない(猛烈に痛い鍼やあえて痛みを起こす鍼の場合は別)ので何を持って上手い下手とするかは難しいところです。
鍼を刺す場所の違い
皮膚によって痛みの感度は変わります。
特に顔、手、足は感度が高いので痛みを感じやすくなります。
お腹に比べてみても、皮膚の緊張度が違いのが触ってわかります。
ということは腰痛などで腰がガチガチの場合は皮膚の緊張度が高まっている場合があるので痛みを感じやすくなります。
他にも年齢等で皮膚のたるみがある場合は痛みを感じにくくなります。
ちなみに年令によって痛みの感じ方は変わります。
鍼などの痛みに対してもっとも感度が高いのは子どもや若年層といわれています。
鍼の療法による違い
鍼の太さは鍼の治療法によっても違います。
これまで紹介した鍼は一般的な鍼灸院の場合を想定しています。
中には太い鍼で痛みを出したほうが効果があると考えている流派もありますので、その場合は原理的にも痛みが強くなります。
最近では鍼灸院のHPに鍼の太さなどを紹介しています。
痛いか痛くないかはその人の感受性によって大きくかわりますので、さきほど紹介した鍼の太さで判断してください。
初めて行くところであれば「痛みが苦手です、鍼の太さを細くしてもらうことはできますか?」という質問を事前にしておくのもよいでしょう。
鍼治療後に痛いことはある?
治療後に痛みが残るということは基本的にはありません。
細い鍼の刺激というの刺した瞬間に神経の興奮が終わります。どんな針であっても刺す瞬間にもっとも痛みが強くなるわけです。
じゃあ、画鋲などの針が刺さった後も少し痛みが残る場合がありますが、それはなぜかというとその太さや刺さりかたによって、皮膚表面に怪我が残った場合です。
怪我がのこれば、擦り傷などと同様に皮膚の損傷があるので痛みが残ります。
皮膚の損傷が回復すれば痛みはなくなります。
針の太さがあるほど損傷の可能性があります。
鍼治療の痛みが不安な時には相談を
鍼灸院にどうしても針をするのが苦手な人が来院する場合もあります。
その場合はぜひ相談してみましょう。
痛みを少なくする、針を使わない、さまざまなオプションを持っている鍼灸院はたくさんあります。
鍼灸院に行けば必ず刺されるとは限りません。通常であれば患者さんの状態に合わせて刺激量を選んでくれます。遠慮なく相談してみてください。
まとめ
「不安は痛みを増幅する。」
実は、不安を感じると私たちの脳や神経系が過敏に反応し、痛みを増幅させてしまうことがあります。
痛みを感じるのは患部です。今回のテーマにするなら針をした場所になります。
ですが、その痛みを大きくするかは脳が関わってきます。
怒りの感情が強い場合痛みは何倍にも膨れ上がると言われます。
メンタルが不安な状態では、交感神経が活発になり、体が緊張しやすくなります。この結果、筋肉が硬くなったり、血流が悪くなったりすることで、本来は軽度の痛みが強く感じられるのです。
例えば、肩こりや腰痛などの日常的な痛みでも、不安な気持ちが続くと、その痛みがいつもより強く感じられることがあるのはこのためです。
当院でも鍼灸治療後にさらに痛みが強くなったと言われることが稀にありますが、全てではないですが不安感が影響していると考えられます。
不安は脳の「扁桃体」という部分を活性化させます。この扁桃体は危険を察知する役割がありますが、不安を感じることで痛み信号を過敏に処理し、さらに痛みを強めるループが生まれるのです。
このような背景から、痛みを軽減するためには、体のケアだけでなく心のケアもとても大切です。当院では初めて治療を受ける場合は事前にカウセリングをして担当者との信頼関係づくりの時間を作っています。
担当者との信頼があれば、鍼灸そのものは痛みを感じにくい施術方法です。当院でも中学生や高校生がお話しながら治療を受けています。
鍼の痛みが怖いと言っていたかたもウトウトとしながら鍼をうけています。
想像の何倍も痛みを感じにくい施術です。
そして治療の効果は痛みに対する不安を乗り越えてよかったぁと思えるほどの効果があります。
だれでも最初の一歩は怖いです。勇気を持って来院された方を私は尊敬しています。
この記事を読んで少しでも最初の一歩が出やすくなりますように。
当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。