2025年2月14日
鍼灸と針灸の違いは何?「はりきゅう」「しんきゅう」読み方の正解は?
カテゴリ: Q&A(よくある質問)
当院でも電話などで問い合わせがあるときに「ミントはり灸院はしんきゅう?はりきゅう?」と聞かれることが何度もあります。
鍼灸院の呼び方で迷うからでしょう。
ちなみに当院では「はり灸院」とあるのは読みやすさを重視したからです。
そうであっても営業さんから「ミントしんきゅういん」と言われることがあります。
人の印象や思い込みというのは強いなと感じます。
最近の鍼灸院の名称はバリエーションが沢山になってきました。「鍼灸」「針灸」「はり」「Hari」「ハリ〇〇」「acupuncture」「Acu」などなど・・・
きっとこれからも広がっていくのだろうと思います。
名前にはさまざまな思いがありますが、読みにくいと問い合わせしずらいですよね。
今回は鍼灸院の名称について解説したいと思います。
これであなたも鍼灸院に問い合わせする時に迷わずすめば嬉しいです。

この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
鍼と針、どちらが正しい?違いはある?
まず「鍼」と「針」の違いについて説明します。
「鍼」は治療用の針を意味し、「鍼」が東洋医学における治療用の針を指すため、正式には「鍼灸」と表記されます。
「針」という漢字は、一般的にはは縫い針や衣服を縫うための針を指します。
ちなみに「灸」は艾(もぐさ)を用いた治療を表しています。
なので鍼灸院という言葉には、「東洋医学的な治療で使う針と艾を使って施術をする場所」という意味が込められているわけです。
では「針灸院」は縫い針を使って施術をするところなの?というとそういうわけではありません。
「鍼灸」と「針灸」は何が違うの?
これは鍼灸の知名度が影響していました。
昔は「鍼灸」という言葉が一般的でなく鍼灸院そのものも知る人が知る存在でした。なので「鍼」を「はり」と認識できる人が少なかった時代であったため、一般的に使われている「針」を使った名称を選んだそうです。
私のイメージではありますが、「針灸院」という名称を使われているところは昔からある、歴史のある鍼灸院であることが多いです。
また、伝統的な施術を受け継いでいるということを表すために「針灸」という名称を選んでいる所もあります。カフェと喫茶の違いに近いでしょうか。
喫茶とカフェの例で言うとカフェとしての認知が高まることで名称もどんどん広がったように鍼灸院においても同じことが起きています。
当院の名称だる「はり灸院」というのも開院した当時としては珍しい名前でした。
当時は「鍼灸院」とするのが多かったからです。
そのころは「鍼灸=怖い」を少しでも変えようという流れがあったのでひらがなを使うところが多かったのだろうと思います。
これも6~7年前から変わってきました。
とくに美容鍼灸が一般化されてきて、サロンのような印象をつける名前が主流になってきた気がしています。
名前も可愛さや洗練されたイメージなどが優先されるようになっているわけです。
カフェがCafeに変わってきたように。
鍼灸の読み方は「はりきゅう」「しんきゅう」?
ネーミングの変遷はわかって頂けたと思いますが、じゃあどう読めばよいのか?という問題が残ります。
実は我々でも答えがありません。なぜなら「はり」「しん」を併用して使っているからなんです。
鍼灸師に「鍼」だけを見せると「はり」と答える人が多くなりますが、「鍼灸」と見せると「しんきゅう」と答えます。
他にも「置き鍼」を見せると「おきばり」と答え、「置鍼」を見せると「ちしん」と言います。
きっと今読んでいる人の頭の中は「Why!!Japanese People!!」と厚切りジェイソンが出てきていると思います。
この謎の読み方変換が「はり灸院」と書いてあるにもかかわらず「しんきゅういん」と言われてしまう要因だと思っています。
なので、私としては「しんきゅう」と読んでも「はりきゅう」と読んでもどちらでもOKです。間違えるのが嫌だなと思ったら「ミント」でもOKですよ。
我々がつける名称というのは地域の保健所に提出をして審査を受けています。それは名称によって勘違いして患者さんに不利益になることを防ぐためです。
病院のような名前をつけてしまって間違えてきてしまっては行けません。
なんでもありのように見えて制限があるので、名称をつけるのは思った以上に難しいわけですね。
だからこそ、名称に強いこだわりを持っている先生もいらっしゃるので、HP等をくまなく読んでもらって正式な名称を読んでくださいね。
治療中に先生に名称の理由なんかを聞くのも良いかもしれませんね。
そもそも鍼治療とはどんなものなのか
このブログに辿り着いた方は「鍼灸治療」の経験が浅い方もしくは初めての方が多いと思いますので、そもそも鍼治療って何?を解説したいと思います。
鍼治療とは
鍼治療とは、細い鍼を体の特定のツボ(経穴)に刺して刺激を与え、体調を整える東洋医学の治療法です。中国を発祥とし、日本でも古くから行われてきました。東洋医学では、体内の「気」や「血」の流れを整えることで、健康を維持すると考えられています。
近年では病院の医療の補完的な役割として注目されていて、その効果が科学的に証明されてきています。その結果、鍼刺激が脳内ホルモンの分泌を促し、リラックス効果や自律神経の調整に寄与することがわかってきています。
鍼治療の仕組み
鍼治療をすることで体にどのように作用するかというと、鍼を刺すと微細な刺激が神経を通じて脳に伝わり、痛みを抑えるエンドルフィンなどのホルモンが分泌され鎮痛効果があります。
また神経の反射という体の働きを使うことで筋肉の緊張緩和や血管の拡張などが作用を起こすことができます。
こういった鍼の効果を適切な場所に起こすことで症状の改善を起こしているわけです。
どんな症状に効果があるのか
鍼治療は、さまざまな症状の改善に役立ちます。特に肩こり・腰痛・頭痛などの慢性的な痛みの緩和に効果があり、血流を促進し、筋肉の緊張を和らげることで症状を改善します。
また、自律神経の乱れによる不調(ストレス・不眠・めまい・冷え性など)にも有効です。鍼の刺激が副交感神経を活性化し、心身のリラックスを促します。
さらに、消化器系の不調(胃もたれ・便秘・下痢)にも効果が期待され、内臓の働きを整えます。スポーツ障害や関節痛、婦人科系のトラブル(月経不順・更年期症状)にも活用されており、幅広い症状に対応できる自然な治療法として注目されています。
鍼治療の基本的な流れ
鍼治療はまず問診から始まります。症状や体調、生活習慣についてヒアリングします。
次に体状態を確認します。これは施術方法ごとによって違いますが、病院との違いは検査機器を使うよりも、目視や触った感じなどで判断します。そして患部だけでなく全体を診て治療方針を決めます。
施術では施術を行う部位を消毒し使い捨ての細い鍼をツボに刺します。刺す際の痛みはほとんどなく、心地よい刺激を感じることが多いです。鍼をする場所は刺激の与え方については施術法ごとによって違いがあります。
鍼治療の安全性
鍼治療は「痛いのでは?」と不安に思う方もいますが、実際に使用する鍼は髪の毛ほどの細さで、刺すときの痛みはほとんど感じません。
また、現在の鍼治療では使い捨て(ディスポーザブル)の鍼が一般的に使用されており、衛生面でも安心です。施術の際には、消毒を徹底し感染症のリスクを防いでいます。
医療過誤の報告件数も他の療法(例えばマッサージなどの手技)に比べても少なくなっています。
鍼灸院ごとにやり方が違う
これまで説明したのは基本的な流れなのですが、厳密に言うと鍼灸院ごとに違います。そこについてはHP等でしっかり調べたり、問い合わせして確認してください。
ただ、安全性や衛生面においては国家資格を持っていますので担保されています。
まとめ
今回のブログでは鍼灸の名称を解説しました。
まわりも受けている人が多くないと思うので不明なところが多いと思います。
多いがゆえに受けるのを避けられているのかもしれませんね。
鍼灸業界に生きる者として、まだまだ発信不足を痛感しています。
最近ではNHKでも特集などで紹介されてきました。
それだけ信用度は高まってきていて、受けていない人のニーズはあるのだと思います。
このブログが少しでも不安の解消、不透明さの解消になれば嬉しいです。
当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。