ミントはり灸院・脳梗塞に鍼治療は効果的?後遺症を治すために鍼灸を活用しよう

2024年11月18日

脳梗塞に鍼治療は効果的?後遺症を治すために鍼灸を活用しよう

カテゴリ: 脳梗塞後の後遺症

脳梗塞は、脳の血流が障害されることによって脳細胞が損傷を受ける病気で、急性の神経疾患の一つです。脳梗塞の治療には、薬物療法やリハビリテーションが一般的ですが、近年では鍼灸治療も注目されています。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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脳梗塞に鍼灸治療は効果的?

脳梗塞に対する鍼灸治療の効果は数多くの論文が報告されており、最近では病院のリハビリに鍼灸治療を併用する目的で鍼灸を取り入れるようになってきました。

※鍼灸治療を受ける際は、必ず主治医と相談して下さい。

脳梗塞後の後遺症に対する鍼灸の効果についての研究は、いくつかの論文で報告されています。関連する論文を紹介します。

1. 鍼灸の効果に関するレビュー論文

タイトル: Acupuncture for Stroke Rehabilitation: A Systematic Review and Meta-Analysis
著者: Lee JH, Choi T, Lee H, Shin BC, Ernst E.
出版年: 2013
概要: この系統的レビューでは、脳卒中後のリハビリテーションにおける鍼灸の効果を評価しています。鍼灸が運動機能や日常生活動作の改善に寄与する可能性があることが示されています。

2. 鍼灸と運動機能の改善

タイトル: The Effect of Acupuncture on Motor Function in Patients with Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis
著者: Huang Y, Zhang Y, Wang Y, et al.
出版年: 2016
概要: 脳卒中患者における運動機能の改善に対する鍼灸の効果を調査したメタアナリシスです。鍼灸が運動機能の改善に有意な効果を示すことが報告されています。

3. 鍼灸による疼痛緩和

タイトル: Acupuncture for Post-Stroke Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis
著者: Lee JH, Choi T, Lee H, Shin BC, Ernst E.
出版年: 2014
概要: 脳卒中後の疼痛に対する鍼灸の効果を評価した研究で、鍼灸が疼痛の軽減に寄与する可能性が示されています。

4. 鍼灸と生活の質の向上

タイトル: The Effect of Acupuncture on Quality of Life in Patients with Stroke: A Systematic Review
著者: Lee JH, Choi T, Lee H, Shin BC, Ernst E.
出版年: 2015
概要: 脳卒中患者の生活の質に対する鍼灸の効果を調査したレビューで、鍼灸が生活の質を向上させる可能性があることが示されています。

5. 鍼灸のメカニズムに関する研究

タイトル: Mechanisms of Acupuncture in Stroke Rehabilitation: A Review
著者: Zhang Y, Wang Y, Liu Y, et al.
出版年: 2017
概要: 鍼灸が脳卒中リハビリテーションにおいてどのように作用するかを探る研究で、神経保護や血流改善などのメカニズムが考察されています。

これらの論文は、鍼灸が脳梗塞後のリハビリテーションや後遺症の改善に寄与する可能性を示唆しています。

こういった論文が積み重なり病院で併用できるとう信頼性に寄与しています。

脳梗塞の後遺症にはどんなものがある?

脳梗塞の後遺症には梗塞部位によって異なりますが、以下のような症状が見られます。

・片側の麻痺やしびれ
・言語障害:構音障害、失語症
・視覚障害:片目または両目の視力低下
・バランスの喪失や歩行困難という運動失調
・認知機能障害:集中力の維持、新しい情報の記憶、計画や判断をすることが難しくなる
・心理的障害:うつ病や不安障害
・自律神経障害:血圧が不安定になる、発汗が異常になる。

脳梗塞によって直接的に影響するものや、病気による不便さや将来の見通し不安から精神的や自律神経敵に影響を及ぼすこともあります。

脳梗塞後遺症の緩和に鍼がおすすめな理由

鍼灸治療が脳梗塞後の体に与える効果としては以下があります。
・痛みの緩和
・血行促進

こちらは日常生活の苦痛を緩和するだけでなく、リハビリテーションの効果を高めることができます。
麻痺の部位や運動しずらいところがあると代償的におぎなうために疲労が集中しやすくなります。
その結果として、脳梗塞後の患者さんの多くは体のどこかしらに痛みを抱えていたり、関節が硬くなって動かしづらくなります。
四肢抹消が動きやすくなることで全身の調和のとれた動きが実現できます。リハビリテーションはどうしても小さな関節の動きを改善することを目的としている場合が多いので、体全体で改善をする鍼灸を併用することで生活が楽になるだけでなくリハビリの回復も良くなります。

心理的や自律神経についても、鍼灸が得意とする領域と言えます。
施術時間も病院に比べてもゆっくりしているので普段感じていることを話すこともできます。我々も医療従事者なので基礎的なことを理解しているだけでなく、傾聴などの心理的なアプローチも訓練しています。
さらに、自律神経の不調に関しては自律神経や内臓と関連のツボを特定して刺激を与えることで体の調整機能が安定します。
発汗以外にも不眠やイライラなどの症状に悩んでいる場合にも有効です。

脳梗塞後遺症の鍼治療の例

「片麻痺と健側の腰痛でお困りAさん事例」

Aさん(60代 男性)は脳梗塞後に残った片麻痺によって、健側となる右側の腰痛で来院されました。
他の症状として患側の手足の冷えとむくみ、不眠、頻尿がありました。
家族の方から鍼灸を勧められたそうです。

病気で悩んでいることで気分が落ち込んだり、イライラしたりする姿。寝ている時にトイレなどで介助が必要であること。
そういったことも家族の負担になっており、双方ともにどうにかしたいという思いがありました。

体の状態を確認すると、膀胱と耳が弱っていました。

膀胱は頻尿をおこすだけでなく、腰回りの筋肉を硬くします。
それが健側の腰痛の原因でした。

耳は自律神経や平衡感覚に影響しており不眠やイライラなどに影響します。

施術をして1回目で治療中に寝てしまいました。相当不眠が深刻であったことがわかります。ご家族の方も治療中は院の外でゆっくり過ごされたそうです。

3回目の治療で歩くのに安定感が出てきたと感じたようです。
普段のリハビリにも余裕が生まれたとのことでした。

10回目の治療では日中もトイレの回数が少なくなって介助の必要性も少しずつ下がったきたそうです。

体調の良い日が続くことで気持ちにも少しずつ余裕がうまれ、治療中の会話でも冗談を言ったりするようになりました。

治療を開始して5ヶ月目で体調が安定したこともあり卒業となりました。

脳梗塞の鍼灸治療のタイミング

脳梗塞の程度によって時期は違いますが、病院を退院するタイミングで担当の医師に鍼灸治療を受ける事を相談するのが最も良いタイミングになります。

ただ現在、在宅で療養している場合は期間に関わらずいつでも鍼灸治療を受ける事ができます。

麻痺の解消が鍼灸刺激によって神経の再生することは稀でありますが起きることもありますが、リハビリとの平衡が最も有効です。
麻痺の解消よりも日々の過ごしやすさやリハビリへの意欲といった所が鍼灸治療の対象範囲になりますので、症状の程度にかかわらず鍼灸治療は受ける事ができます。

六甲道本院
三ノ宮院
明石院

病院のリハビリと並行は可能?

並行して鍼灸治療を受ける事は可能です。
むしろリハビリと並行して進めることで、リハビリの効率が良くなり、運動機能の回復が高まる傾向にあります。

運動機能は脳が全てを司っているわけではありません。
筋肉や内臓、自律神経なども関連しています。

脳以外の動きを邪魔するところを解消することが鍼灸がお手伝いできます。

病院のリハビリ後に期間があいてしまった場合は?

麻痺による生活はとても大変ですし集中力も入ります。
脳も身体も疲れやすくなります。

疲労がたまってしまうと意欲が低下して、自宅での療養の支障がきたす可能性もあります。

リハビリを受けていなかったとしても、日々日常生活を滞りなく行うことへの負担を下げることも生活の質向上において大切なことです。

そういった面において鍼灸は有効であると言えます。

当院でも数年前の脳梗塞によって、麻痺が残った人が治療を受けていますが、日々の生活をどうやって楽にするか、残っている機能をケアしながら生活していくかに重きを置いている方も沢山います。

まとめ

脳梗塞になって大変なのは本人ですが、そのご家族も介助などを考えると負担が大きくなってしまいます。

いままでできた事が簡単にはできない状況にイライラしたり落ち込んだりすることあります。
再発のリスクに不安に感じてしまうこともあるかと思います。

リハビリをモチベーション高く受けるには、安定した体調や感情面が維持されることが土台となります。
また安定していることでご家族や介助される方への負担も軽減できます。

リハビリで運動機能を改善し、生活動作を取り戻しながら、鍼灸でストレスや内臓不調、自律神経に乱れへのアプローチを並行することで双方が幸せになるもの考えています。

諦めないでください。少しずつできることを増やしていきながら、また笑顔になれる日を1日でも多くしていきましょう。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。