2025年2月7日
不妊・妊活に鍼灸は効果ない?原因や治療で期待できる効果
カテゴリ: 不妊症・逆子・つわり
妊活の一つの手段として一般化されつつある鍼灸治療ですすが本当に効果があるのか?という疑問はつきないと思います。
有名なインフルエンサーや一般の人のSNSを参考にするも自分に合うかどうか不安ですよね。
中には「鍼灸で妊娠しなかった」という事例も見ることもあるでしょう。
何が正しいのか判断が難しくなってとりあえず費用もかかるしやめておこうと考える人が多いのではないでしょうか?
今回は効果が出ないケースを解説していますので妊活での鍼灸院選びの参考にしてください。

この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
不妊に鍼灸の効果が出ないケースとは
鍼灸治療が体に対して行っていることは疲労しているところなどを見つけて体の働きを正常な状態に近づけていくということです。これを体質改善と表現する場合があります。
ということは不妊の原因が体質改善ではどうにもならなに場合には鍼灸だけで不妊が改善することは難しくなります。
器質的な問題が原因の不妊
子宮や卵巣に明らかな異常(レントゲンなどで目視でわかる場合)がある場合、鍼灸だけで改善するのは難しいことがあります。
代表的な生殖器の器質的な問題
卵管閉塞:卵管が完全に詰まっている場合。排卵などが困難になります。
子宮筋腫や子宮内膜ポリープ:大きな筋腫やポリープがあると、着床が妨げられることがあります。
重度の子宮内膜症:内膜組織が異常増殖している場合。こちらも着床や排卵など生理機能全般に影響します。ホルモン治療や手術が必要になることがあります。
これらのケースでは不妊専門のクリニックで適切な治療を受けることが優先されます。
ホルモン分泌の異常が強い場合
ホルモンの数値も検査されることがありますが、これらに異常がみられる場合は鍼灸よりも投薬などを使うほうが早く改善します。
早発閉経(POI):卵巣の機能が大きく低下している場合。誘発剤だけでは排卵ができないなどの問題があります。
甲状腺機能異常:甲状腺ホルモンは妊娠に大きく関わるため、甲状腺専門の医療機関での治療が必要です。
高プロラクチン血症:プロラクチンの過剰分泌がある場合、薬物治療が優先されることが多いです。
鍼灸院との付き合い方が間違っている場合
鍼灸=ツボを押す、そしてツボには効果があって押すだけで誰でもすぐに効果がでると勘違いしている場合です。
すぐに効果が出てほしいという気持ちはよくわかります。
まず理解してほしいのが「不妊のツボ」「妊活のツボ」「冷え改善のツボ」はありません。
体質改善と言っても、それぞれに体のどこに問題があるのか、疲労があるのかを見つけないと体質改善にならないわけです。
不妊だからといって子宮、卵巣、冷えを改善しないと妊娠しないわけではありません。人によって原因は様々です。
わずか数回ときには移植前の前日や1週間前に来たとしても治療効果を出すことは難しくなります。
ダイエットをしたいからといって、ジムに1回いって体型が変わるとは思わないですよね?鍼灸も同じと考えてください。
効果が出ないと思った人の多くは、効果を感じるほどの治療量に達していないことがあるわけです。「ジムに行ったけど痩せなかった」という理由はいろんな課題があるわけです。
鍼灸院、ツボに対する勘違いが不妊治療に鍼灸って効果ないよね。という結論を生んでいることがあります。
不妊で鍼灸が効果なしと感じる理由
鍼灸は体質改善をしているということですが、2つの理由から効果を感じない場合があります。
理由①:体質改善には時間がかかる
体質改善を感じるには体に良いことをし始めてから効果が出るまでに一定期間必要となります。当院場合だと最低でも3ヶ月です。
この時間が待てない場合があります。
不妊治療の移植タイミングだったり、仕事のスケジュール、人生設計、年齢などなど。
多くの場合が不妊治療を一定期間頑張って、結果がでなくて、体質改善が必要だと感じます。不妊治療は並行して行っているので、すぐに何とかしたいという希望が強いのは当然です。
当院でも同じような人もいますが、体質改善で時間が必要だとわかる方は不妊治療を一旦休止して鍼灸に集中する選択を取る方がいます。この場合は妊娠率が高くなる傾向にあります。
理由②:体質改善には原因を見極めないといけない
これは鍼灸師の力量によるものです。
不妊=冷えと考えている鍼灸師は多いです。
体の構造を考えていない短絡的な発想だなと感じてしまいます。
最近では不妊=姿勢と言う所も出てきました。コメントが難しくなります・・・。
生理学的に起きていることを正しく理解して、身体の状態を知る方法がちゃんと確立されていたらその人の問題点は他の人と同じとは限りません。
私がこれまで診てきた経験で言っても、ほとんどの人が原因は違いました。
体質改善は体に良いことをすれば良いわけではなく、体の負担になっているところを減らすことが大切です。
メンタルにも体にも良いと言われているウォーキング。それ以上に腰痛が酷かったどうでしょうか?歩くたびに痛くなるだけですよね。
体の負担になっているところと体にとって良いことを分けて考えて、負担に鳴っているところから治療するのが体質改善の基本です。
効果を感じない場合はそのあたりの進め方や原因の見極め方が間違っている場合となります。
理由②:体質改善にはプロケアとセルフケアが必要
近年、口腔環境を良くすることが長寿や生活の質を高めるということが言われています。
他にも疾病の予防になることもあるそうです。
じゃあ、数ヶ月に一度、歯科医院に行ってクリーニングをするだけで十分なのか?というとそうではないですよね。
ご自身でのブラッシングは必要不可欠です。
それだけでは届かないところや深いところはプロ(歯科衛生士)の技術でケアしてもらうわけです。
このように体を良くするにはプロとセルフの両輪が上手に働くことで体はどんどん良くなっていきます。
プロなんだからよろしくね!では効果を感じにくい場合があります。
治療はいっしょになって作っていくものです。どのようなセルフケアをするべきかを鍼灸師と共に考えていきましょう。
不妊・妊活に鍼灸が効果的なケースとは
血流の改善が必要な場合
鍼灸は血流を促進し、子宮や卵巣の機能を向上させる効果が期待されます。ほかの内臓についても血流促進による機能回復の効果があります。
とくに骨盤内臓器の血流が良くなることで、内膜が厚くなり受精卵が着床しやすい環境を作ります。
2. ホルモンバランスの調整が必要な場合
ホルモンバランスが乱れていると、生理周期が不安定になり、妊娠しにくくなります。
ホルモンの薬を使っている場合でも自律神経に乱れがあれば薬だけでは改善しない場合もあるので鍼灸治療を並行して行っておくことをオススメしています。
例えば、生理不順は生理が不規則なため排卵が不安定になっています。自律神経からホルモンの分泌を整えることで安定した排卵を促します。
3. ストレスや自律神経の乱れが影響している場合
ストレスは不妊の大きな原因の一つとされており、鍼灸は自律神経を整えるのに役立ちます。
ストレスによる不眠や疲労の軽減は睡眠の質を向上させる体調を整えます。
4. 自然妊娠を目指している場合
人工授精や体外受精に進む前に、自然妊娠の可能性を高めるために鍼灸を利用するケースもあります。とくに二人目不妊の場合で通院が忙しい場合に鍼灸院を利用される場合が多くなります。
薬を使わない妊娠しやすい体作りもでき、卵子や子宮の状態を整えることで、自然妊娠の可能性を高めます。男性不妊改善にも効果があり、精子の質を向上させることができます。
不妊・妊活鍼灸で期待できる効果
1. 血流の促進
鍼灸により血行が改善され、子宮や卵巣への血流が増えることで、内膜が厚くなり、受精卵が着床しやすくなる可能性があります。
2. ホルモンバランスの調整
鍼灸は自律神経に働きかけることで、ホルモン分泌を整える効果が期待できます。これにより、生理周期の安定や排卵の促進がサポートされます。
3. 自律神経の安定
ストレスや不規則な生活習慣により乱れた自律神経を整え、リラックスしやすい状態を作ることで、妊娠しやすい環境を整えます。
4. 睡眠の質の向上
睡眠不足や質の悪い睡眠はホルモンバランスの乱れや内臓機能の低下につながります。鍼灸によりリラックス効果が得られ、睡眠の質が向上することで、体調が整いやすくなります。
5. 卵巣機能の向上
血流改善やホルモン調整を通じて、卵巣機能の活性化を促し、卵子の質向上が期待できます。
6. 免疫機能の強化
鍼灸は免疫機能をサポートする効果もあり、着床後の妊娠維持の効果が期待できます。
不妊で鍼灸治療を受ける前に
不妊に対する鍼灸治療は数多くの研究発表がされています。
A Review of Acupuncture Treatment for Infertility Hea & Ho, J Acupunct Res 2021;38(4):257-264
こちらはレビューでは鍼灸治療を行った郡のほうが有意に改善したとあります。
なので、データにおいても鍼灸の効果は証明されています。
ただ、だからといって不妊に鍼灸治療だけで望むのは危うさがあります。
まずは産婦人科等で検査を受けてみて、器質的な問題の有無を確認しましょう。
その結果をもって、自分で判断するのが難しい場合はお近くの鍼灸院に行って相談してみてください。
体質改善の必要性や体のどこに問題があるのかを的確に伝えてくれます。
ただ、すぐには効果は出ないということも治療を受ける前に認識しておきましょう。
3ヶ月から半年程度の余裕をもって鍼灸を受けることが鍼灸治療の効果を最大化します。
検査を受けること、時間に余裕を持った計画を持つこと。
これが鍼灸を受ける前に準備していただきたいところになります。
まとめ
今回は妊活に鍼灸を考えている人向けの解説しました。
完璧な方法というのは存在しません。
鍼灸も妊活を成功させるための特定の領域を得意としています。
治療を受けようと思った際は鍼灸のできることをしっかり理解したうえで受信を検討してください。
当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。