2025年2月25日
耳鳴り・突発性難聴は鍼灸治療で悪化する?原因や効果も解説
カテゴリ: 耳鳴り・難聴
耳鳴りや突発性難聴にお悩みの方は、治療法として鍼灸に期待される一方、治療中に症状が悪化するのではないかという不安もお持ちです。本記事では、鍼灸治療におけるリスクや、治りにくいケース、原因と種類、さらには具体的な治療法とその効果について詳しく解説します。

この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
鍼灸治療で耳鳴りが悪化する可能性はある?
鍼灸治療は、体全体のバランスを整え、内耳環境の改善を目指す有効なアプローチですが、一部のケースでは治療直後に一時的な症状の増悪を感じることがあります。
刺激による一時的な反応
鍼や温灸による局所刺激は、血流や神経の働きを活性化させるため、体が反応する過程で耳鳴りが一時的に強く感じられる場合があります。治療を受けることの不安感や恐怖感があると筋肉の緊張や感受性の高まりなどが生じて耳鳴りが強くなってしまうこともあります。
個々の体質や症状の状態
患者さんごとに内耳の状態や炎症の程度が異なるため、治療開始直後は体内の調整過程として一時的な悪化が見られることもあります。例えば膝を擦りむいたなどして出血がある場合を想像すると、水で流せば一時的に出血が収まりますが、時間とともに出血します。施術を受けて止まる→出血するという変化が耳鳴りの感受性を高めます。
施術後の風邪
耳鳴りは顔周りの炎症に大きく影響しますので、施術を受ける前にすでに風邪を引いていた場合は施術効果に関係なく風邪の影響を受けます。本人が認識していないほどの風邪等の感染がある場合、ウィルスや細菌感染には潜伏期間があるので数日後に風邪の症状が強くなるのでお互いに気が付かない場合がほとんどです。
鍼灸で耳鳴り・突発性難聴が治りにくいケースとは
すべての患者さんが同じように改善するわけではありません。以下のようなケースでは、鍼灸治療だけで十分な効果が得られにくいまたは改善に長期間を有することがあります。
慢性的な内耳環境の悪化
長期間続いた血行不良や内耳のリンパ液の異常は内耳の組織に変性が起きている可能性があります。
複数の要因が重なった耳鳴り
鼻炎や上咽頭部の炎症、さらに首や肩のこりが同時にある場合です。耳だけでなく全身の調整が必要となり原因の特定に時間がかかります。ただ正確な状態把握をしつつ、原因を一つ一つ解決していけば効果が期待できます。
早期治療の内容
突発性難聴は早期の耳鼻咽喉科での治療が大切です。治療開始が遅れ炎症が長引いた状態が続くと回復までの期間が長引きます。
耳鳴りは症状発症が炎症のスタートという場合は少なく、それよりも前から耳内部への炎症が長期間続いていて、症状が発生します。
なので、耳鳴りはすでの慢性化した状態の現れとも言えます。それが耳鼻科においても治癒の難しさだと考えています。
ただ、耳鳴りがあることのストレスは非常に大きいので期間をかけてでも治す意義はあるのではないでしょうか。
耳鳴り・難聴の原因や種類
原因
耳鳴りや難聴の原因は多岐にわたりますが、当院では主に以下の点を重視しています。
内耳の循環不調
血流が滞ることにより、内耳のリンパ液が正常に循環せず、音の伝達が乱れることがあります。
鼓膜の痙攣
首や肩のこりなどからくる筋肉の緊張が、鼓膜周辺に影響を及ぼし、異常な反応を引き起こす場合があります。
鼻炎や上咽頭部の炎症
鼻や喉の炎症が耳管を通じて内耳に影響を及ぼし、リンパ液の状態が乱れることも。
ストレスや生活習慣の乱れ
精神的ストレスや不規則な生活が、体全体のバランスを崩し、耳鳴りや難聴の発症リスクを高める要因となります。
種類
耳鳴りや難聴は、その原因や症状の現れ方により以下のように分類されます。
一次性耳鳴り
特定の耳の器質的疾患が認められず、脳内での音の認識異常が原因とされるもの。外部に実際の音源がないにもかかわらず、ブーンやシーッという音、あるいは高音・低音が断続的または持続的に聞こえる。精神的ストレスや不安と連動して症状が強まることがある。
二次性耳鳴り
内耳や聴覚神経、耳周辺の器官に明確な異常がある場合。耳鳴りと同時に、耳閉感や局所的な痛み、聴力低下が伴う場合が多くなります。
突発性難聴
急激に発症し、原因が明確でないまま片耳または両耳の聴力が低下する状態。突然、数時間から数日の間に片耳または両耳の聴力が急激に低下する。耳鳴りや耳閉感、場合によってはめまいや吐き気を伴う。
その他の難聴
年齢や生活習慣によるものではなく、内耳や中耳の炎症・循環不良が主な原因となるケースが多く見られます。聴力低下が徐々に進行するケースが多い。全身の健康状態や生活習慣の影響を受けやすく、症状が変動する傾向がある。
突発性難聴・耳鳴りの鍼灸治療法
当院では、患者さん一人ひとりの症状や体質に合わせた多角的な治療法を実施しています。以下は、主な治療アプローチの一例です。
治療法①:局所刺激療法
耳や頭部、首周辺の特定のツボに対し、直接的な鍼刺激を行います。
目的:内耳や中耳の血流を促進し、鼓膜の痙攣を緩和する。
特徴:耳鳴りの根本原因に直接働きかけるアプローチです。
治療法②:内臓調整
耳だけでなく、内臓や自律神経の回復を促す治療法です。
目的:全身の血流改善と内臓機能の向上により、免疫力を高めて内耳の炎症を少なくする。
特徴:鼻炎や上咽頭部の炎症など、耳以外の影響要因にも対応します。
治療法③:温灸併用療法
鍼治療に加え、温灸を併用することで温熱効果を利用し血流と新陳代謝を促進します。
目的:熱刺激による血行の改善や炎症の抑制を図る。
特徴:局所の温め効果により、内耳関する内臓の環境改善が期待できます。
治療法④:個別カスタマイズ療法
患者さんの症状、体質、生活環境を総合的に評価し、最適な治療プランを策定します。
目的:症状の改善と再発防止のため、定期的なカウンセリングと治療内容の見直しを行う。
特徴:他の治療法と組み合わせることで、より高い効果を狙います。
これまで10年以上の臨床経験の中で培ってきたデータを基に判断しています。多くの場合がカスタマイズして治療を選んでいます。
突発性難聴・耳鳴りの鍼灸治療の効果
鍼灸治療により、耳鳴りや突発性難聴に対して以下のような効果が期待されます。
効果①:血流促進
鍼や温灸による刺激で、内耳・中耳周辺の血流が改善され、リンパ液の循環が整います。
メリット:内耳の循環が向上し、血液による炎症物質の排出によって炎症が和らぐことが期待できます。炎症が経れることで内耳環境が改善し耳鳴りの軽減につながります。
効果②:内耳環境の改善
局所刺激と全身調整により、鼓膜を調整する筋肉や耳に繋がる耳管、耳管の起点となる咽や鼻を改善し耳の環境より良い状態を維持します。
メリット:鼓膜の痙攣が緩和され、正常な聴覚へと導きます。
効果③:神経調整
耳鳴りの原因となる神経の過敏状態を整え、適切な神経伝達を促します。
メリット:脳の興奮が収まることで音の認識が正常化し、耳鳴りの強度が低下します。
効果④:ストレス緩和と自己治癒力の向上
全身のバランス調整や免疫や代謝に関する内臓機能の回復を通じて、精神的なストレスが軽減され、体全体の自己治癒力が高まります。
メリット:長期的な視点で再発防止にも寄与し、生活の質が向上します。
まとめ
鍼灸治療は、耳鳴りや突発性難聴の原因である内耳の循環不良や鼓膜の痙攣、さらには鼻炎や上咽頭部の炎症などに対して、局所から全身までアプローチする有効な治療法です。
一時的な症状の増悪が見られる場合もありますが、適切なカウンセリングと個別対応により事前に予測したり予防することができます。治療開始直後は増悪したりで症状に波が出ることが多いですが、体質改善が進むことで耳の不調は少しずつ軽減します。聴覚は切ることができない感覚です。改善のメリットは非常に大きく、生活だけでなく人生の質を高めるものと考えています。
治療効果には個人差があるため、早期の受診と専門家との十分な相談を通して、自分に最適な治療法を選ぶことが重要です。
耳鳴りや突発性難聴でお悩みの方は、信頼できる鍼灸院での治療を検討し、根本的な原因改善に向けたアプローチを進めてみてください。
当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。