2024年11月4日
子宮筋腫のツボの場所は?小さくするための鍼灸治療など改善法も紹介
カテゴリ: 生理痛・PMS・生理不順
この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
子宮筋腫とは
子宮筋腫は、子宮を子宮内膜の深い所にある筋肉に発生する腫瘍です。多くの腫瘍は良性です。
比較的若い女性から閉経後の女性まで高頻度に見られる疾患です。30代女性の3人に1人、40代女性の2人に1人という高い割合で発症する身近な婦人科疾患です。
ただ多くの場合は無自覚、無症状なため婦人科健診で気がつくことが多いです。
親や姉妹などに筋腫の家族歴がある場合は2.5倍のリスクがあると言われています。
子宮筋腫の症状としては不正出血、月経困難、過多月経、不妊、流早産、強い生理痛などがあります。
子宮筋腫には発生場所によって分類されます。粘膜の下に発生する「粘膜下筋腫」5~10%を占めて症状の大半を占めます。子宮の筋肉内に発生する「筋層内筋腫」は70%を占めます、子宮を包む膜にできる「漿膜下筋腫」で15%を占め、無症状のことが多く下腹部のしこりとしてわかりやすい特徴があります。
子宮筋腫が大きくなる原因は?
子宮筋腫は発生・増大には女性ホルモンであるエストロゲンが関与しています。エストロゲンは生理が始まった頃から増えて、40代には減少していきますので、閉経前には症状が強かった場合でも閉経後には縮小します。
子宮筋腫はエストロゲンなしでは生存することはできません。
エストロゲンの過剰な分泌や増大が子宮筋腫発生の原因です。
エストロゲンが増えてしまう要因
1:「肥満」
脂肪細胞はエストロゲンを産生する能力があるため、肥満の人はエストロゲンレベルが高くなる傾向があります。
2:「ストレス」
慢性的なストレスは、副腎からのエストロゲン分泌を増加させる可能性があります。
3:「環境ホルモン」
一部の化学物質(ビスフェノールAなど)は、体内でエストロゲン様作用を示し、ホルモンバランスを乱す可能性があります。
4:「卵巣の機能異常」
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの卵巣機能障害は、エストロゲンの過剰分泌につながることがあります。
5:「生活習慣」
過度の飲酒や不適切な食生活は、肝臓でのエストロゲン代謝に影響を与え、結果としてエストロゲンレベルを上昇させる可能性があります。
6:「ホルモン補充療法」
不妊治療などで長期的にエストロゲン補充療法を受けている場合、エストロゲンレベルが高くなることがあります。
エストロゲンは出産によって調整されます。生理が始まってから妊娠までの期間が長くなることも子宮筋腫発生のリスクを高めると言われています。
食生活の変化による生理開始年齢の低下、社会的な要因による出産率の低下などがリスクを高める要因です。
普段からリスクを高めない生活を考えておく必要があります。
子宮筋腫に手術は必要か
子宮筋腫の手術判断は以下の条件があてはめられます。
1:症状がある場合:過多月経や月経痛が強い、頻尿や排尿困難などの圧迫症状がある、腹部膨満感や腰痛がある。
2:筋腫の大きさ:10 cm以上の筋層内筋腫、15 cm以上の漿膜下筋腫
3:筋腫の成長速度:急速に大きくなる場合(悪性腫瘍の可能性を考慮)
4:妊娠・出産への影響:不妊の原因となっている場合、妊娠中の合併症リスクが高い場合
5:年齢や閉経との関係:閉経前で症状が強い場合、閉経後も縮小しない場合
6:薬物療法の効果:薬物療法で効果が得られない場合
7:粘膜下筋腫の場合:3-4 cm以内の粘膜下筋腫は子宮鏡下手術の適応となる
8:患者の希望:症状に対しての不安が強く、患者が手術を希望する場合
手術方法は筋腫の大きさや数によって、腹腔鏡下手術または開腹手術を選びます。
手術の年齢によっても子宮保存を優先してさまざまな治療法を選びますので、子宮筋腫=手術と考えなくてもよいでしょう。
大きさが小さくても生理痛が強い場合に手術をする場合もあります。
子宮筋腫を小さくするツボの場所
当院では出来てしまった子宮筋腫を小さくすることはできないと考えています。
ただ、子宮筋腫はエストロゲンの量が過剰になっている状態を正常にすることが、これ以上の肥大を防ぎます。
さらに生理痛が楽になって、月経過多が減少すれば、筋腫と上手に付き合うことができます。
そうなれば手術をする必要はありませんし、閉経とともに縮小していくまで待つことができます。
意識的な子宮筋腫への不安、心配を小さくすることが当院の方針です。
今回のツボの紹介は上記のスタンスを基に紹介します。
ツボ①:肝兪
肩甲骨の下角を結んだ背骨の第7胸椎から2つ下がった背骨の第9胸椎から左右に指2本分のところにあります。
背中がこったと思ったときに叩くあたりです。
自分で指で押さえるのが難しい場合はテニスボールなどを使って、仰向けになってゴロゴロと押してみて下さい。
肝臓の機能を高めて、血中エストロゲンの濃度を下げる役割があります。
ツボ②:三陰交
足の内くるぶしから指4本分上、すねの骨のすぐ後ろにあります。
右足か左足かは押してみて痛い方を選んで下さい。
生理痛を緩和し、生理の働きを改善する役割があります。
ツボ③:百会
左右の耳の穴を結んだラインと眉間の中心から頭のてっぺんに向けたラインが交わる頭頂部の真ん中です。
睡眠の質を改善する効果があります。生理周期は睡眠によって作られます。
睡眠量も大事ですが、質をさらに高めることで、ストレス状態を緩和することでエストロゲンの量を減少する効果があります。
子宮筋腫の改善方法
現代社会において子宮筋腫のリスクは高くなる傾向があります。
普段からエストロゲンの量が課題にならないような生活習慣を心がけましょう。
ひいては卵巣機能の安定化の効果も期待できます。
【子宮筋腫】生活改善
ストレスを溜めないことがポイントとなります。仕事や家事、学業で忙しくてストレスを0にすることはできませんが、少なくすることはできますし、長期化しないことは工夫しだいです。
仏教の考え方にありますが、感情の波を無駄に増やさない「ニュートラル」な状態作ることがあります。周りの影響に対して、反応せずに物事を冷静に理解し、自分がなすべきことに集中することは自分へのストレスを減らすことができます。
【子宮筋腫】睡眠改善
まず睡眠の量と質を確保することです。常に同じ時間で就寝することが簡単にできることです。日中のストレスが強い場合は瞑想や森林浴、軽い運動などを取り入れて、睡眠に向けた準備をしましょう。また午前中に30分程度は太陽の日を浴びるというのも効果的です。
【子宮筋腫】食事改善
肝臓に負担のかかる食事はエストロゲンの代謝(=エストロゲンの量を調整する)が低下します。アルコールの量には注意するべきですし、肝臓の栄養となるたんぱく質が少ない食事というのも注意が必要です。
【子宮筋腫】お灸・針治療
お灸や鍼治療は肝臓機能を高めたり生理痛などを緩和する効果があります。特に悪い所をみつけて治療をするので効率よく子宮筋腫の予防や症状緩和を実現できます。同じ事をセルフケアでも上記のセルフケアで実現できますが、セルフケアは続けるのが難しく、効果がいまいち分かりにくいところがあります。
定期的な鍼灸治療は体のチェックにもなりますのでセルフケアとプロによるケアを上手に使うことをおすすめしています。
鍼灸治療でどんな効果が期待できる?
鍼灸治療のよいところは体の弱点を見極めることができることです。
肝臓に問題がない場合もあります、その場合はストレス緩和にセルフケアを集中することで早く子宮の改善されます。
また、皮膚への刺激は内臓や自律神経へ与える影響も大きく、普段のセルフケアだけでは効果出すことができない範囲もカバーできます。
できるだけ早くに効果を出したい場合は鍼灸治療を選びましょう。
具体的な治療法
当院での子宮筋腫の治療は以下の流れになります。
1:問診
その月の生理の状態を確認します。
出血量や痛みなど普段との違いがないのかを確認します。
2:触診
内臓の状態を確認します。肝臓や子宮、卵巣などに炎症が発生していないかを皮膚の状態から判断します。炎症があることで機能低下を起こします。それを未然に防ぎ子宮筋腫や筋腫による症状を防ぎます。
自律神経の状態を確認します。主に睡眠やストレスによる影響などを判断します。エストロゲンは脳からの指令によって量を調整しています。自律神経が正常に働いていることも子宮筋腫を防ぐと言う意味で大切なポイントとなります。
3:施術
筋腫の治療だからといって、子宮に深く鍼をするということはありません。
鍼は全身に鍼やお灸をしていきます。その深さも数ミリ程度です。
さまざまな不安をお持ちの方が多いので、雑談をしながら心も楽になって欲しいと思っています。
4:セルフケアの提案
体の状態が分かっているので、その人にあった適切なセルフケアをお伝えします。
「え!そんなこと?」という内容をお伝えする場合もあります。
一見すると子宮と関係なさそうですが、その方の弱点をカバーするための方法として必要な手段を提案しています。
まとめ
「子宮筋腫を小さくしてほしい」という問い合わせは度々ありますが、残念ながら筋腫が出来てしまったものを鍼が直接的に小さくすることはできません。
出来たとしても病院で処方されたホルモン量を調整する薬の効果を高めるくらいです。結果としては小さくなります。
これは私の個人的な意見ですが「筋腫が小さくなる」という、うたい文句の宣伝には疑って確認するべきです。
ただ生理痛を緩和したい、手術を回避したいという要望は応えられます。
手術はとても不安です。いくら腹腔鏡下であっても怖さはあります。
担当のドクターと相談しても、どうしても不安が拭えない場合は鍼灸治療を試してみてはいかがでしょうか。
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